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大阪地方裁判所 昭和31年(ワ)3841号 判決 1957年4月30日

協和銀行

事実

原告主張の事実。原告は、訴外上田増橘より「訴外多田工業株式会社及び多田藤雄が、共同して、被告にあてて、昭和三〇年八月一六日金額一三〇、〇〇〇円満期同年九月一五日支払地振出地共に大阪市支払場所株式会社協和銀行堂島支店と定めて振出し、被告がこれを右上田に、上田が更に原告に、順次いずれも、支払拒絶証書作成の義務を免除して、白地式裏書をした旨の記載ある約束手形一通」の譲渡を受けた。

理由

証拠によれば、被告が手形の裏書をした点を除き、爾余の原告主張事実全部そして被告の裏書は、内縁の夫である訴外多田藤雄が、被告の署名を偽造し、かねて被告より預りおる同人の印章を盗用し、その名下に押捺してなされた事実が認められる。

かかる認定事実に徴するときは、被告の裏書部分は偽造であるが、内縁の夫である多田藤雄より手形の交付を受けた訴外上田増橘において、多田に被告のため、直接本人名義で手形行偽をする権限ありと信ずるのがもつともであり、しかも、それにつき本人たる被告に責ありと認められるので、被告は、表見代理人の場合と同様、右多田の行為による手形上の責任を負担する義務あるというべきである。

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